高校生の保育ボランティアが11名も
大久保保育園は高校生の保育ボランティアを受け入れています。今年(2018年)の夏のボランティア『夏ボラ』には11名の高校生が来てくれました。一人が2~4日間ほど活動しましたので、延べ人数にしますとかなりの数の人たちが保育にかかわってくれたことになります。この企画を始めてまだ2年ですが、これだけの反響があることを嬉しく思うとともに、この小さな営みが地域の『子育て文化の醸成』へ繋がっていくことを願っています。
明石市には2018年9月1日現在で654人の待機児童がいます。全国1位と言われています。その中でも大久保地区は特に待機児童数が多く、大久保保育園はまさに待機児童問題の嵐の真っただ中にあると言えます。
待機児童問題は保育士不足問題と直結しています。子どもを受け入れるために保育園をたくさん作るということは、そこで働く保育士がたくさん必要であることは明白です。しかし地域に保育士が急に増えるわけもなく、保育園を新設すればするほど保育士不足に拍車がかかります。
保育士は片道1時間以上かけて通勤するようなことはほとんどありません。勤務時間が早出の場合、朝7時には出勤しなければならず、通勤に長時間かかると負担が大きいからです。また、子育てが始まってからはワーク・ライフ・バランスを考えると家から近い職場であることがさらに重要になってきます。
保育士不足解消には地域に保育士になりたいと思う人が増える必要があるのです。そのためには将来の進路を考える時期である高校生に保育を体験してもらい、保育の楽しさ、奥深さ、その重要性などを実感してもらうことが大切です。それが『高校生保育ボランティア』のアイデアの出発点です。そして保育士希望者が増えるためにも、その想いを支えるためにも、子育てや保育が社会的に高く評価される価値観が形成されていくことが重要なのです。
日本社会はあまりにも子育てを軽視していないでしょうか。仕事に合わせて子育てをするのではなく、子育てに合わせて仕事をするものではないのでしょうか。子どもは放っておいても育つのではなく、放っておいても育つぐらいの子どもの育ちを考えた環境作り(人も自然も地域社会も)が必要なのではないでしょうか。そして子育ては社会的に尊い営みであるという共通認識とそれが文化として根づき深められていく『子育て文化の醸成』が必要なのではないでしょうか。その第一歩として高校生保育ボランティアは大きな一歩だと考えています。